A story to share together
ルーモとまいごのホタル
やさしい子ギツネのルーモは、おだやかな忍耐づよさと草あみのランタンをつかって、まいごのホタルをしずかな野原をこえてお家までみちびきます。


Page 1
子ギツネのルーモは、星がキラキラとまたたきはじめる夕方のおさんぽがだいすきでした。やわらかな青みどりのマフラーが、すずしい夜風から首をあたたかくまもってくれます。しずかな野原からは、あまいクローバーとしめった草のにおいがしていました。

Page 2
うつむいたキンポウゲの花のしたで、ルーモはかすかにチカチカとひかるものにきづきました。あたたかい金色の目をこうきしんで見ひらいて、もっとちかくからのぞきこみました。ひろいみどりの葉っぱのうえに、ちいさなホタルがふるえながらちょこんとすわっていて、とてもかなしそうでした。

Page 3
ちいさなホタルは、ささやき声のようなちいさな声でブンブンとおとをたてました。「ぼく、ピップっていうんだ」と、しずかにため息をつきました。「風にふきとばされて、ふるいやなぎの木からとおくへきちゃったんだ。それに、ぼくのひかりもどんどんきえそうなんだよ」

Page 4
ルーモには、まいごになるのがどんなにこわいかよくわかりました。ルーモは草であんだカゴをやさしくトントンとたたいて、あたらしいお友だちにほほえみかけました。「しんぱいしないで、ピップ」と、ルーモはやさしくささやきました。「こんばん、いっしょにやなぎの木をさがそう」

Page 5
ピップはかよわい羽をパタパタさせて、ルーモのあんだカゴのなかに安心してやすみました。ルーモがくねくねとした土のみちをとことこ歩くと、背のたかい野原の草がうたうようにサワサワとなびきました。ふたりはいっしょに星空をみあげながら、木をさがしました。

Page 6
やがてふたりは、ツルツルとひかる石がある、ひろいサラサラとながれる小川につきました。ピップはルーモの肩へとびのり、みどり色のあかるい光を水面いっぱいにピカッとてらしました。そのまっすぐな光のおかげで、ルーモはあんぜんに足をふみだすばしょがぴったりわかりました。

Page 7
小川のむこうがわでは、しげったトゲのあるやぶが道をかくしていました。ピップはドキドキして不安になりましたが、ルーモは大きく息をすいこみました。「力をあわせれば、いつでも道はあかるくなるよ」とルーモはささやき、前足で葉のしげったシダをかきわけました。

Page 8
ピップは空へとびたち、うれしそうにリズミカルに三回ピカッピカッピカッと光らせました。森がひらけたその先には、コケがはえた地面まで枝がたれさがっている、とても大きなやなぎの木がたっていました。そのふとい幹のまわりを、何百もの金色の光がおどっていました。

Page 9
「ぼくのかぞくを見つけてくれたんだね!」ピップはかんせいをあげて、夜の空でキラキラと宙がえりをしました。ほかのホタルたちも、ありがとうのきもちをこめてルーモのまわりをまぶしくおどり、あたたかくむかえる光でルーモのふわふわのオレンジ色の毛をあかるくてらしました。

Page 10
そしてその日から、ルーモはどんなに小さなひかりでも、いちばんくらい夜をとおして友だちをみちびくことができるのだと知りました。ピップにげんきよく手をふって、ルーモは星空のしたをお家へとむかい、心の中がほこらしく、おだやかで、あたたかいきもちでいっぱいでした。


